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京都に移って三年。いまだに、通り名をうまく読めない。
姉小路を「あねこうじ」、御幸町を「みゆきちょう」と、堂々と読み間違えていた。漢字はぜんぶ読めるのに、読みは外す。京都の通り名は、そういう難しさがある。
この記事では、移住者が実際につまずいた難読の通り名と正しい読み方を一覧にまとめ、あわせて住所でよく見る「上ル・下ル」の意味、そして「左京区が地図の東にある理由」まで、暮らしの目線で解説する。観光ガイドではなく、住んで間違えた記録として書く。
まず一覧:京都の難読な通り名と正しい読み方
| 通り名 | 間違えやすい読み | 正しい読み |
|---|---|---|
| 姉小路通 | あねこうじ | あねやこうじ |
| 東洞院通 | とうどういん | ひがしのとういん |
| 西洞院通 | さいとういん | にしのとういん |
| 御幸町通 | みゆきちょう | ごこまち |
| 先斗町 | せんとちょう | ぽんとちょう |
| 不明門通 | ふめいもん | あけずどおり |
| 釜座通 | かまざ | かまんざどおり |
| 天使突抜 | てんしとつぬけ | てんしつきぬけ |
| 御前通 | ごぜん | おんまえどおり |
| 間之町通 | まのまち | あいのまちどおり |
字面はやさしいのに、読みは独自。これが京都の通り名の入口でつまずく理由だ。
「上ル・下ル・西入ル・東入ル」の意味
京都の住所には、「◯◯通△△上ル」のような言い方がよく出てくる。最初はまったく分からなかった。意味はこうだ。
- 上ル(あがる) = 北へ進む
- 下ル(さがる) = 南へ進む
- 西入ル(にしいる)/東入ル(ひがしいる) = その方向へ進む
坂でもないのに「上がる・下がる」と言う。京都は北が高く、南へ向かって緩やかに下がる地形なので、北=上、南=下、という感覚が住所に残っている。慣れると、住所だけで場所の見当がつくようになる。
左京区が「東」、右京区が「西」にある理由
地図を見ると、左京区は右(東)側、右京区は左(西)側にある。名前と逆だ。移住者がほぼ全員つまずくポイントである。
理由は「天子南面(てんしなんめん)」という考え方にある。天皇が御所から南を向いて座ると、左手が東、右手が西になる。その天皇の視点を基準に、左を「左京」、右を「右京」と名づけた。北を上に置く現代の地図とは、基準の向きが逆なのだ。
千年前の人の視点が、いまも区の名前に残っている。これを知ったときだけは、ちょっと感心した。
なぜ京都の通り名は読み間違えるのか
理由はシンプルで、「漢字が読めてしまうから」だ。
知らない外国の地名なら、最初から調べる。だが京都の通り名は、漢字なのでとりあえず読めてしまう。「みゆきちょう、ね」と勝手に納得して、調べない。そのまま一年が過ぎる。誰も指摘してくれない——この“読めるがゆえに調べない”が、移住者がいつまでも間違える正体だ。
対策は身も蓋もないが、「読めた」と思った通り名こそ、一度は読みを確認すること。とくに上の一覧の通り名は、見かけたら立ち止まる価値がある。
参考になる一冊
通り名や地名の由来をもっと深く知りたい人には、谷川彰英『京都 地名の由来を歩く』が読みやすい。通り名・地名の背景にある歴史を、歩きながらたどる一冊。読み方の先にある“なぜ”が見えてくる。
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本記事の読み方は、Wikipedia「京都市内の通り」・コトバンク・各通りの資料を参照して作成。地名の読みには異説・通称差がある場合があります。